【世界のミンワから】第45回「コアラのしっぽが短いわけ」

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

カンガルーのボラーと、コアラのコアボンは仲良しでした。
いつも一緒にえさを探しに行きました。

あるとき、雨が降らない日が続いて、辺り一面すっかり乾ききってしまいました。
木も草も枯れてしまいましたし、人間も動物も生きていられなくなりました。

けれどもカンガルーのボラーとコアラのコアボンは水のある穴ぐらを知っていました。ところがその穴ぐらにも水のなくなる時がやってきました。

カンガルーのボラーもコアラのコアボンも喉がヒリヒリ痛みました。
ふと、カンガルーのボラーが言いました。

「ずっと前、僕がまだ、お母さんのポケットに入っていたころ、やっぱり水がなくなっちゃったことがあるんだよ。
そのとき、お母さんは水を探してあっちこっち歩き回ったんだ。
ほかのカンガルーたちは「赤ん坊をポケットから出して捨てちゃいなさい、そうすれば水を探すのも宅ですよ」って勧めたけど、お母さんは僕をしっかりお腹の袋の中に入れておいてくれたっけ。
ずいぶん、歩いてから、お母さんは水のなくなった川へ着いたよ。
そこでお母さんたら、ぼこぼこに乾いた砂を掘り始めたんだ。
うんと、長いこと掘ったら穴の底から水がにじみ出てきたんだ。
そしてお母さんの堀った穴にだんだん水が溜まって僕たちは水を飲むことができたんだよ。」

「そいつは素晴らしい!すぐ川を探しに行こうよ。」
とコアラのコアボンが言いました。
二人は水を探しに旅に出ました。でも夜の間だけ少しずつ歩きました。

ようやく川の土手に着きました。
川には一滴の水もありません。
川底には乾いた砂があるきりでした。
カンガルーのボラーはお母さんの手つきを思い出しながら砂を掘り始めました。
長いこと掘ったので、とうとうカンガルーのボラーはくたくたにくたびれました。
そこでコアボンに
「おい、今度はきみ、やってくれよ。」
と頼みました。

コアラのコアボンは働くのが大嫌いです。
「僕なんだか気分が悪いんだ。」
と嘘をつきました。
ボラーは仕方なく、一休みしてからまた砂を掘り始めました。
カンガルーのボラーの手は痺れてきました。

ようやく穴の底に水がにじみでてきました。
水はだんだん穴にたまって、水たまりができました。

カンガルーのボラーは急いで仲良しのコアラのコアボンのところに飛んでいきました。

「おい、水が出たよ。」

ボラーの声を聞くと、病気のふりをしていたコアボンは飛び起きました。
コアボンは水たまりに飛んでいくと、頭を突っ込んで、がぶがぶ飲み始めました。
穴の上に、しっぽだけがのぞいていました。

カンガルーのボラーは騙されたと気が付くと、カンカンに怒りました。

で、コアボンのしっぽをちょきんと切ってしまいました。
コアラのしっぽが短くなってしまったのは、こういうわけなんですって。