【世界のミンワから】第43回「ひな鳥とねこ」

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

ある時、1羽のひな鳥が、お母さん鳥に
「お母さん、あたし、ケーキが食べたい。」
とおねだりしました。

お母さん鳥はすぐに聞き入れて、
「いいわ。その代わりお隣に行って、人間が捨てた薪の端っこを拾ってきておくれ。それでケーキを焼いてあげるからね。」
と言いました。

ひな鳥はお隣りへ出かけていきました。
そして薪の端っこを二つ三つ見つけて持って帰ろうとしました。

ところがその時です。
1匹の年とったネコがひな鳥を見つけて、こっちにやってきました。

ネコはひな鳥のそばまで来ると、
「おまえを食べてやる。」
と脅かしました。ひな鳥は
「あなたは優しい方ね。どうかわたしを逃がして頂戴。そうすれば私のケーキを少し分けてあげるわ。」
と一生懸命頼みました。

するとネコは
「よろしい。」
と言って、そのままどこかへ行ってしまいました。

ひな鳥は急いで家へ帰りました。
そしてお母さん鳥に
「とっても恐い目にあったのよ。」
とさっきの出来事を話しました。
「心配しなくてもいいよ。」
とお母さん鳥は言い聞かせました。

「お母さんが今すぐ、大きな大きなケーキを焼いてあげるからね。そうすればお前が食べてもまだそのネコにあげる分が残るでしょ。」

やがて、大きな大きなケーキが焼けました。
お母さん鳥はそれをひな鳥にやりながら
「さっきのネコにやる分を残しておくのよ。」
と念をおしました。

でもケーキはとてもとても美味しかったものですから
食いしん坊のひな鳥はみんな食べてしまいました。

「食いしん坊ね。お前は。」
とお母さん鳥はひな鳥を叱りました。
「きっとネコは忘れているわよ。それに私たちの住んでいるところだって知らないんですもの。」
とひな鳥がのんきに考えていました。

ところが向こうの方からネコがやってくるではありませんか?!

さあ大変!ひな鳥は怖くて怖くてたまりません。
震えながら、
「お母さん、どうしたらいい?」
と聞きました。
「お母さんについておいで。」
お母さん鳥はこういうが早いか、いっさんに駆け出しました。

そして夢中で隣の台所に飛び込みました。
ひな鳥もあとから一生懸命走っていきました。

二人はいい隠れ場所はないかと、きょろきょろ辺りを見回しました。
すると隅っこに土で作った大きなツボがありました。

二人は大急ぎでその中に隠れました。
けれどもネコは二人が台所へ逃げ込んだのをちゃんと知っていました。
ですからカンカンに怒って、大きな声で怒鳴りました。
「おい!食いしん坊のひな鳥め。俺にくれるケーキはどこにあるんだ?出てこい!出てこないなら、お前たちを二人とも食ってしまうぞ。」
ネコは二人を追いかけて台所へ行きました。

ところがいくら探しても二人の姿がありません。
「二人ともたしかここへ逃げ込んだんだがなぁ。まぁ、いいさ。ここには戸口が一つしかないんだからそのうちに出てくるに決まっている。」

こういうとネコは戸口に座り込んで、いつまでもいつまでも待っていました。

一方、壺の中ではお母さん鳥とひな鳥が恐くて震えていました。

【次回へ続く】