【にゃるほどクノネコ社長】第59回「解雇」

このコラムについて

日々の経営の中で出てくる人事・労務問題をクノネコ社長目線で描く4コマ漫画。漫画から労働法のあるあるが学べます。もしかしたらあなたの会社にもクノネコ社長がいるかもしれない。

今回は、従業員の雇用に関して一番多い悩みではないかと思う「解雇」についてみていきたいと思います。

そもそも解雇とは「使用者による一方的な労働契約の解約」のことを言います。

解雇にも種類があって、
①普通解雇
②懲戒解雇
③整理解雇
に分かれています。

簡単に言ってしまうと、③は会社側の理由によるもの、①②は従業員側の理由を原因としたもの となります。

①普通解雇

普通解雇は、就業規則で定める従業員の債務不履行に対する解雇のことです。
就業規則によって内容は異なると思いますが、一般的な普通解雇事由は
●病気・ケガなどによる労務の提供ができない
●出勤不良・能力不足・成績不良
●協調性の欠如
●業務命令違反
●服務規律違反

となっています。

②懲戒解雇

懲戒解雇は、就業規則の懲戒事由に該当したことによる制裁としての解雇のことです。
懲戒事由も企業によって異なりますが、
●無断欠勤を繰り返し、出勤催促に従わない
●横領・窃盗・詐欺をした
●故意に会社に損害を与えた
●懲戒処分を繰り返し、改善されない
●ハラスメントを行った
といったものが多くなっています。

①と②は似ているように思いますが、
①の普通解雇は複数事由を根拠として解雇することができますが、
②の懲戒解雇は該当する解雇事由以外を根拠とすることができません。

これは、解雇の正当性判断に大きな影響を与えることになります。

例えば、成績不良と転勤拒否をした従業員がいた場合に、
普通解雇では「成績不良」と「転勤拒否(業務命令違反)」を事由に解雇の合理性を判断することになります。

一方、懲戒解雇では「成績不良」が懲戒事由であることはほとんどないので、「転勤拒否」の事由をもって解雇の合理性を判断します。

解雇無効の訴えを起こされたときに、普通解雇と懲戒解雇では判断基準が異なることから、普通解雇を選択していれば解雇の正当性を証明できたかもしれないのに、懲戒解雇としたことで解雇無効となってしまうということが起こります。

ただ、前提条件として、解雇自体が就業規則に解雇事由について定めがしてなければできないので、就業規則が存在しないのに「解雇だ!」と言ってしまっている場合は、解雇無効となりますので注意が必要です。

③整理解雇

整理解雇は、会社の経営不振や合理化を進めるために行う人員削減による解雇のことです。
整理解雇には4要件というのがあり、
(1)人員削減の必要性
(2)解雇回避努力
(3)人員選定の相当性
(4)手続きの相当性
を総合的に判断して整理解雇の正当性判断が行われます。

これらすべての解雇において、「解雇が有効となる事情」がない場合は解雇権を濫用したとして無効と判断されてしまうので、
どんな解雇事由によるものなのか、きちんと手続きを踏んでいるのかをしっかり判断しなくてはいけません。

特に、コロナウイルスの影響で整理解雇をせざるを得ない企業が増えてきたように感じます。
整理解雇を実施せざるを得なくなった場合は、きちんと専門家と相談のうえ進めることをおすすめします。