【にゃるほどクノネコ社長】第56回「副業先の労災」

このコラムについて

日々の経営の中で出てくる人事・労務問題をクノネコ社長目線で描く4コマ漫画。漫画から労働法のあるあるが学べます。もしかしたらあなたの会社にもクノネコ社長がいるかもしれない。

2020年9月1日に労働者災害補償保険法が改正されました。

これにより、副業をしている人のように複数の会社に雇用されている方の労災保険給付の金額は、複数の企業の賃金合算額を基本に決まることになりました。

以前までは労災が起こったとしても、その企業での賃金のみを基準に給付額が決まっていたため、副業をしているような方の場合は働けなくなっていることには変わりがないのに、一つの企業のみの低い賃金で算定された給付しかもらえないことが問題視されていました。

働き方改革の一つとして、副業・兼業が推奨されたこともあり、
9月1日からはすべての勤務先の賃金額を合算した金額を基礎として給付額を決定されることになったのです。

▼複数事業労働者への労災保険給付「わかりやすい解説」

https://www.mhlw.go.jp/content/000662505.pdf

この改正によって、私は2点のことを懸念しています。

(1)副業を隠している人が労災を隠す、または一方のみの労災給付にする

(2)労働時間やストレスも総合的に合算評価して判断することになる

この制度をきちんと運用していこうと思った場合に、
副業を可能とする方向への考え方のシフトと
副業先の労働時間を把握する体制整備

が必要になってくると思います。

現状では副業を積極的に認めている企業はまだ少ないと感じます。

正社員として残業ありきで働かせている場合は、
副業をされることで本業への悪影響を心配するからです。

働き方改革で残業制限が厳しくなったので、その分残業代が減ってしまったというのはよく聞く話です。
その代わりに副業をするようになったという話もちらほら聞こえてきています。

健康確保のために労働時間を制限しているのにも関わらず、
副業した結果、総合的な労働時間は増えている=長時間労働による疲労が増加している、ということが発生しています。

過労で倒れたときも、全事業所の業務負荷を総合評価されるということになると、副業先の労働時間も管理してその人の労働時間を決めなくてはいけない。

そうすると、労働時間をフルタイムから短時間に変更せざるをえないなど
副業先での就労時間を増やすというおかしなサイクルに入ってしまいます。

そもそも副業をこっそりしている人は、
労災合算になってしまうと副業がばれてしまうので、労災を使わず通常の健康保険での治療を希望するというようなことも起こってきます。
(立派な労災隠しです)

賃金合算はすごく意義のあることだと思いますが、
それに社会がまだ追いつていない。
所得の少ない人ほど副業をせざるを得ない中、働き方改革はそういった問題には対処しきれない。

これからは今までの働き方の改善による「働き方改革」ではなく、
まったく新しい働き方を構築する「働き方革命」が必要になると思った労働法改正だと感じました。

 

 

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