【世界のミンワから】第40回「宝さがし」

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

むかし、ある国に王様がいました。
王様には、三人の王子がありました。

隣の国に、女王様がいました。
女王様には美しい一人の王女がありました。
三人の王子は、三人ともこの美しい王女をお嫁さんにもらいたいと思いました。

そこで王子たちは王様のところへ行って、
「僕たちのなかで、誰が王女をお嫁さんにしたらいいか、決めてください。僕たちは文句を言いません。」
と言いました。王様はしばらく考えていましたが、
「では、こうしよう。三人とも旅に出て、世界で一番尊いものを探しておいで。一番素晴らしいものを持ってきたものが、王女をお嫁さんにもらうことにしなさい。」
と言いました。

三人の王子は、一緒に出掛けました。
やがて十字路に来ました。
そこで三人はそれぞれ別の道へ歩いていきました。

一番上の王子は大きな町につきました。
王子は隅から隅まで見て回りましたが、市場へ行って何か素晴らしいものはないかと探しました。

まもなく、ばねのついた絨毯を見つけました。
これにのって、飛び上がれば、飛びたいだけ高く、遠くへ飛べるのです。
「いくらだね?」
と王子は尋ねました。
「1000ターレルです。」
と商人は答えました。

一番上の王子は1000ターレルを払って、その珍しい絨毯をかかえて帰りました。

二番目の王子は、とある村へ着きました。
一人の男が長い長い望遠鏡を売っていました。
「これをもって、よく見てごらんなさい。」
と男が声をかけました。

「ああ、見える。見える。兄さんがいる。」
望遠鏡の中に絨毯を抱えて、帰っていく兄さんの姿が見えたのです。

「こりゃあ素晴らしい。」
と王子はつぶやいて、商人に
「いくらだね?」
と尋ねました。
「1000ターレルです。」
王子はお金を払って、望遠鏡を持って帰りました。
三番目の王子はある国に着きました。
何かステキなものはないかと市場へ行きました。
すると一人のおじいさんがりんごを売っていました。
「りんごだよ。りんごだよ。病気が治るりんごだよ。」
「病気が治るというのは本当かね?」
と心の優しい王子は聞きました。

病気で苦しんでいる人を治してあげられるなんてすばらしい、と思ったのです。

「ああ、本当ですとも、病人の顔をこのりんごでこすってやれば、りんごの香で病気が治ってしまうんですよ。」
とおじいさんが言いました。
「いくらだね?」
「1000ターレルです。」
王子はお金を払い、りんごを握って帰りました。
二番目の王子が望遠鏡を担いで歩いていくと、一番上の王子に会いました。
「弟はどうしているだろう?」
と一番上の王子が言いました。
「望遠鏡で見てみよう。」
こういって、二番目の王子は望遠鏡を目に当てました。
すぐに三番目の王子を見つけました。

「お前の望遠鏡も確かに素晴らしい。だが僕の絨毯はもっと素晴らしい。これにのれば、どんな遠くでもひとっとびで行かれるんだ。」
と一番上の王子が言いました。

「それが本当ならすごい。」
「本当さ。」
二人の王子は高く飛び上がって、あっという間に三番目の王子のところにつきました。
今度はりんごをもった弟も一緒にみんなでまた絨毯にのりました。

絨毯がぴょーんと空高く舞い上がったところで、二番目の王子は望遠鏡をのぞいてみました。
「うわ大変だ。王女が病気だ。」
とさけびました。

三人は絨毯のおかげで、瞬くうちに王女のお城へ着きました。王女は重い病気にかかって今にも死にそうでした。

三番目の王子はりんごを持って王女に近づきました。
王女の頬をりんごでこすると王女の病気はたちまち治りました。

三人の王子は王様のところへ行って、おみやげを見せました。
そしてみんなで力を合わせて、王女の病気を治したことを話しました。

「でも私の絨毯があったから間に合ったんですよ。」
と一番上の王子が言いました。
「私の望遠鏡がなかったら王女が病気だってことも気が付かなかったでしょう。」
と二番目の王子が言いました。
「でも、私のりんごがあったから病気が治ったんですよ。」
と一番下の王子が言いました。

王様はしばらくじっと考え込んでいましたが、
「息子たちよ。わしは望遠鏡のおかげだと思う。しかし王女の考えも聞いてみよう。」
と言いました。

王様は王子たちと一緒にすぐに王女のところへ行って、このことを話しました。
すると王女は
「私は皆さんのおかげだと思います。でも病気の人を助けてやろうという、三番目の王子のお優しい気持ちが一番尊いと思います。それに私は前から三番目の王子様が好きでした。」
と言いました。
三番目の王子は王女をお嫁さんにして幸せに暮らしたのでした。