【世界のミンワから】第24回「七つの星」

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

昔、ロシアの田舎の村で長い間、お天気が続いたことがありました。

幾月も雨が降らないので、畑のものは枯れ、井戸水もなくなってしまいました。
水がなくては生きていくことはできません。

馬や牛はドンドン死に、人も毎日何人かずつ死んでいきました。

そんなある晩、一人の女の子が木のひしゃくを持って水を探しに出かけました。
女の子のお母さんが、重い病気で寝ていて
「死ぬ前に一口でいいから水を飲みたい」と言ったのです。

でも水はどこにもありません。

女の子は探しつかれて、道端に座り込んでしまいました。
空には月が出ていて、星がキラキラ光っています。
女の子はいつの間にか、うとうと眠ってしまいました。

ふと目が覚め、立ち上がろうとしたとき、女の子はあっと叫んでひしゃくを見ました。
なんと、ひしゃくの中にはきれいな水がいっぱい入っていたのです。
女の子はもう何日も水を飲んでいません。
のどがカラカラです。
思わずひしゃくを口にもっていきました。
でもその時お母さんのことを思い出し、はっと手を止めました。

(いけない。早くお母さんに飲ませてあげなくちゃ)

女の子は自分が飲みたいのを我慢して家へ急ぎました。
しばらく行くと、道端に骨と皮に痩せた犬が倒れていて、苦しそうに息をしています。

(可哀想に、水を飲ませてあげましょう)

女の子は大切な水を少しだけ手のひらにこぼして犬に飲ませてあげました。
犬は嬉しそうに目を開け、しっぽを振りました。

女の子がまた歩き出すと、ひしゃくが前より重くなっているような気がしました。不思議に思ってよく見ると、木のひしゃくはいつの間にか銀のひしゃくに変わっていました。
女の子はびっくりして家に帰りました。

「あっ、水、水だわ。」

お母さんは寝床から起き上がると、ひしゃくを掴んで叫びました。

「さあ、たくさん飲んでください。」
女の子は優しく言いました。

でもお母さんは一口飲んだだけで、
「ありがとう、美味しかった。あとはみんなお前がお飲み。」
と言って、ひしゃくを女の子に返しました。

その途端、銀のひしゃくが金のひしゃくに変わりました。
二人は驚いて、顔を見合わせました。
女の子は途中で木のひしゃくが銀のひしゃくに変わったことを話しました。

「なんて不思議なひしゃくでしょう。きっと神様の仕業かもしれないね。さ、いいからみんなお飲みなさい。」
お母さんが言いました。

「いいえ、お母さんこそもっと飲んでください。」
二人が譲り合っているところ、一人の痩せたおじいさんが入ってきました。
「その水を私にも飲ませておくれ。もう喉が渇いて死にそうだ。」
女の子はおじいさんが可哀想になって
「さあ、どうぞ。」
と気持ちよく、ひしゃくを差し出しました。

「ありがとうよ。」
おじいさんは口にひしゃくをつけるとごくりごくりとおいしそうに水を飲みました。ところがどうでしょう。
いくら飲んでもひしゃくの水が減りません。

おじいさんは女の子にひしゃくを返して言いました。
「さあ、遠慮せずにあんたも飲んでごらん。」
女の子がひしゃくを持ち上げた途端、おじいさんの姿がパッと消えました。
するとひしゃくの中にダイヤモンドが七つ星のように光っていました。

女の子がまたまた驚いて、お母さんに見せようとしたら、七つのダイヤモンドが次々とひしゃくから飛び出し、空高く飛んでいきました。
女の子は急いで、窓にかけより、空を見上げました。
北の空にはひしゃくのカタチをした七つの星がきらきらと光っていました。

いくら飲んでも水の減らないひしゃくのおかげで村の人たちも久しぶりに水を飲むことができました。
そんなことがあってからしばらくして、雨が降り始めました。
村の人たちは生き返ったように元気になりました。