あの背中を追って-第11回

このコラムについて

ミンワとは泥や失敗やこっぱずかしさ、
カサブタやひだひだの一杯ついた本当の物語。
創業や商品開発、危機的状況を乗り越えるたびに新しく生まれています。
ミンワの新作は現代の企業における新しいミンワを紹介していきます。

毎週木曜日配信のミンワの新作。株式会社ジースタイラス「あの背中を追って」。
前回の続きをお届けします。

第四章 女子高生向けのイベント

プロジェクトメンバーを募ったり、営業をしたり、イベント会場を探したり。そんなことをしているうちに、学生より社会人と知り合う機会が多くなった。
「どうやって営業してるんですか?」
「収支はどうなっているんですか?」
 そんなふうに質問を受けることも多かった。
 そんな中「うちの社長に会ってみない?」と言う人が現れた。事業計画書を作って持ってきてほしいという。

「学生でヤバい奴がいるって噂を聞いてさ」
 通された会議室で名刺交換をした後、三十代くらいの社長が椅子に座りながら言う。僕を紹介してくれた企画室長が隣に座っていた。
「いや、ヤバくはないです」
 僕はそう答えてから、事業計画書を取り出した。ホチキスで止めた数枚の用紙を見せる。そこには、右肩上がりのグラフ。売り上げアップを見込むことが、事業計画だと思っていたのだ。
二枚目には、事業コンセプト。

働く疲弊した大人たちをなくす
若い人と企業をつなぐ
  ↓
「就職オーディション」

 企画室長は、「これしかないの?」とでも言いたそうに、何度もページをめくって、用紙の裏表を確認した。一方で、社長はまじめな顔で見つめている。
「これって、どうやるの?」

 僕は、女子高生向けに開催したイベント「ドリームズファクトリー」からヒントを得て、会社説明会ではない方法で企業と学生の出会いを作る事業を説明した。
「それで、学生が集まる?」
「企業がお金出さないんじゃない?」
 僕の説明に対して、甘いところをたくさん指摘された。
「もう少し詰めたら、うちの会社で一緒にやろうよ。可能性あるよ」
「そうですか。ありがとうございます」

 そう答えたが、まだ就職するつもりはなかった。だけどこうして、社会人が事業計画にアドバイスをしてくれるなんて驚きだった。僕はこれに味を占めて、何人かの社会人に見せては事業計画書をブラッシュアップしていった。

文 栃尾江美
絵 山本麻央