あの背中を追って-第10回

このコラムについて

ミンワとは泥や失敗やこっぱずかしさ、
カサブタやひだひだの一杯ついた本当の物語。
創業や商品開発、危機的状況を乗り越えるたびに新しく生まれています。
ミンワの新作は現代の企業における新しいミンワを紹介していきます。

毎週木曜日配信のミンワの新作。株式会社ジースタイラス「あの背中を追って」。
前回の続きをお届けします。

第四章 女子高生向けのイベント

 雑誌に掲載するためにたくさんのギャルに話を聞いていくうちに、僕の手元にはギャルのデータベースができていた。年齢層は、高校生がもっとも多い。進路を迷っている彼女たちの助けになるようなことはできないだろか。しかも、ビジネスとして。
『Stylish』の営業で、専門学校へ行ったこともあった。広告は出してもらえなかったが、学生を集めるのに苦労をしているとは言っていた。
 それなら、女子高生向けにイベントをやろう。女子高生の参加は無料で、専門学校に費用を出してもらえばいい。

 イベント会場では、たくさんの女子高生たちが、いろいろなブースに集まり、塊になっていた。ブースの数は三十くらい。
「あれなんだろう。人混みができてる」
「ヘアメイクじゃない? 行ってみよう」
 制服を着た二人組が足早に向かったブースに、僕も近づいてみる。彼女たちのの邪魔にならないよう、隙間から中の様子をうかがう。

 そこは、ヘアメイクの専門学校のブース。その学校を卒業したプロのヘアメイクアップアーティストが、デモンストレーションをしていた。モデルにメイクをして、美しいヘアスタイルに仕上げている。モデルは真っ白のドレスを着ているから、ブライダル系なのだろう。

 ガングロだったり、ガングロでなかったりする女子高生たちが、それを囲んで真剣な目で見つめていた。渋谷の街を歩いたり、雑誌に載るために写真を撮っているときとは、全く違う表情。彼女たちには、プロとして働く人生の先輩たちがどのように見えているのだろうか。

「この学校のパンフレットもらおうかな」
「私も。もらっていこー」
 別のブースでは、美容師がモデルの髪を美しくブローしていた。また、キャビンアテンダントが機内アナウンスのデモをしているところもある。

 そんなふうに各専門学校の卒業生がデモをすることで、女子高生は卒業後の進路が具体的にイメージできる。先をイメージしたうえで、学校を選べるのだ。「とりあえず進学する」ではない進路の決め方ができるはずだ。

 イベントは大成功だった。女子高生たちも、専門学校の人たちも、満足度が高かった。学校側から見ると、普段は自分たちの学校を知らない高校生に情報を届ける機会が圧倒的に少ないから、貴重な機会だ。たくさんの学校を一気に集めることで、もともとその学校に興味がなかった子にも見てもらえる可能性がある。

 ブース出展ひとつにつき、十万~二十万円ほど出してもらっていた。人件費を除けば、収支はトントンというところだ。

文 栃尾江美
絵 山本麻央