あの背中を追って-第9回

このコラムについて

ミンワとは泥や失敗やこっぱずかしさ、
カサブタやひだひだの一杯ついた本当の物語。
創業や商品開発、危機的状況を乗り越えるたびに新しく生まれています。
ミンワの新作は現代の企業における新しいミンワを紹介していきます。

毎週木曜日配信のミンワの新作。株式会社ジースタイラス「あの背中を追って」。
前回の続きをお届けします。

第三章 ギャル向けの雑誌作り

帰宅すると、名刺を作ってくれたデザイナーの友だちに急いで電話をした。雀の涙ほどの額で、写真撮影とページデザインを依頼した。
約束した日にMOUSSYのカリスマ店長の取材が無事終わると、その内容が掲載された雑誌のサンプルはスムーズにできた。それを手にまた109前へと訪れる。ようやく、ギャルの話が聞けるはずだ。

「え、MOUSSYじゃん」
「MOUSSYと同じ雑誌に載れるの?」
「読モ? マジで~」
 これまでとはまったく違う反応だった。

 定型的なインタビューのほかにも、ギャルの子たちにいろいろな話を聞いた。「将来は、ショップ店員になりたい」「見た目ギャルでも働ける場所があるといい」そんな風に言っている子が多かった。

 ギャルの子たちの要望を組み合わせれば、雑誌の制作費もまかなえるかもしれない。彼女たちが働けるような企業にスポンサーになってもらおう。幼稚園や遊園地など、見た目がギャルでも雇ってくれそうな場所に足を運び、広告を出してもらうことにした。

 109に入っている他の店舗にも取材をして、誌面を充実させた。『Stylish』はギャルと親和性の高い美容院やショップなどに置いてもらった。

かなり満足だった。雑誌という「形」ができたのも、「ギャル」という最先端の人たちに話を聞くことができたのも。だが、ずっと続けても進展しそうな気がしなかった。結局、僕はギャルの気持ちがわかるようになるわけではない。ギャルの気持ちがわからないまま、雑誌を作り続けることはできないだろう。

 もっと違う形で、彼女たちの手助けができないだろうか。

 

文 栃尾江美
絵 山本麻央