【ミンワ経営のススメ】第37回「旅館業を変えた陣屋コネクト」

このコラムについて

「物語の力を学び、経営に活かす」
創業時の物語、危機的状況を乗り越えた逆境の物語、商品やサービスが誕生したときのはじまりの物語、大切な社員たちとの出会いの物語。それらを学ぶことは業績アップの第一歩です。なぜなら、経営とは物語の集まりなのです。

陣屋コネクトを知っていますか?

陣屋コネクト  https://www.jinya-connect.com/

「陣屋コネクト」とは、旅館・ホテル経営をITの力で改革するツールです。

運営するのは、神奈川の老舗高級旅館「元湯陣屋」です。

公式HPの画像
https://www.jinya-inn.com/

この元湯陣屋は、一時は償却前利益で年間マイナス6000万円の大赤字という存続の危機に直面していました。そこから経営者が自ら「陣屋コネクト」というITツールを開発し、サービス品質・生産性を向上させ、経営を数年で立て直したと言われています。

元湯陣屋といえば、2018年に第2回日本サービス大賞( 国内の全てのサービス提供事業者を対象に、多種多様なサービスを共通の尺度で評価し、“きらり”と光る優れたサービスを表彰する制度 )で「総務大臣賞」という賞を受賞ししています。

この大賞で評価された点の一つに、勘と経験に依存しがちな旅館サービスにおいて、ICTの有効活用により、サービスの質と労働生産性の向上を実現したとありました。

わたしは、この勘と経験というのが、次世代の経営のキーワードだと思います。

元湯陣屋の駐車場には「陣屋コネクト」の一つであるテレビカメラが設置されています。このテレビカメラが自動でナンバープレートを読み取り、顧客管理システムにアクセスします。

陣屋コネクトのHP画像

そして、瞬時に新規顧客なのかリピーターなのかを判断します。 リピーターなら、すぐにその場でチェックインでき、新規顧客ならインカムで担当のスタッフにそのことが告げられて、一斉にフォローをします。

リピーターは、駐車場に入った瞬間から、全スタッフから「〇〇様」だと認識され、名前で呼ばれます。ITの力とは言え、名前で呼ばれることは非常に気持ちが良いですし、リピーターなら名前を覚えてくれていたら嬉しいと思います。

これを各従業員の力量に任せてしまったらサービスが不均一になってしまいます。だからこそITの力を利用するのです。

よく有名ホテルに、伝説のドアマンと呼ばれる従業員がいて、顧客の名前、顔、自動車の種類とを覚えていて個別対応すると言います。

そのようなドアマンの個人能力を組織で実現するために、このナンバープレート自動読み取りシステムを考えて「陣屋コネクト」で実現させたそうです。

旅館業は名前や顔を覚える以外にたくさんの業務があります。その一つでも楽にできれば、それ以外のことに力を注げますし、どんどんデータを蓄積していけば、もっとお客様の細かなニーズにも対応でき、さらに旅館は良くなっていきます。

この「陣屋コネクト」は現在、自社だけでなく、300社以上の旅館やホテルに導入されているそうです。

元湯陣屋の採用サイトに、次のような一文がありました。

日本の旅館と観光を もっと元気に
~旅館を憧れの職業に~

元湯陣屋の理念です。

このシステムが全国で使われるようになって、旅館業全体の生産性があがれば、もともと素晴らしい仕事なのだから、この理念は必ず実現できると思います。