【ミンワ経営のすすめ】第26回「ドイツの労働法を変え、ドイツを復活させた男」

このコラムについて

「物語の力を学び、経営に活かす」
創業時の物語、危機的状況を乗り越えた逆境の物語、商品やサービスが誕生したときのはじまりの物語、大切な社員たちとの出会いの物語。それらを学ぶことは業績アップの第一歩です。なぜなら、経営とは物語の集まりなのです。

今日はドイツの将来を考えて、ドイツの労働法を変えた男、ドイツ連邦共和国の第7代首相(1998- 2005)ゲアハルト・シュレーダーの物語。

21世紀にはいり、ドイツの経済も日本と同様に低迷していました。

このままではいけないと考えたシュレーダー政権は、将来を見据えて「アジェンダ2010」という10年間の大胆な改革プログラムを打ち出しました。
そして、その中に解雇規制に緩和を盛り込みました。つまり社員を解雇しやすくする制度です。


当時のドイツも今の日本と同様に解雇が全くできない労働法制がしかれていました。
ドイツは、経済の低迷の原因の一つに、雇用の硬直化があると考えていましたが、産業が大きく変わろうとする中で、人は新しいことに挑戦しないといけないのに、職を変わることはありませんでした。
また企業も変革しなくてはいけないのに、人を解雇し、新しいことのできる人材を新規採用することもできませんでした。

シュレーダー政権は、「アジェンダ2010」で解雇規制の緩和を決めますが、単に社員のクビを切って路頭に迷わせるということではありません。

解雇されて市場に出てきた人材は、国が責任を持って再教育し、新しい産業で食べていけるようにすると宣言したのです。

そうドイツの将来を見据えての解雇規制の緩和でした。

2005年、この痛みを伴う改革でシュレーダー政権は退陣に追い込まれてしまいますが、バトンを引き継いだメルケル首相の時代になりドイツの経済は復活しました。

グローバル経済の中で、国内だけを見て、単に労働者の雇用を守り、権利を守り、休暇を増やして、給料を上げ続ければ、仕事は海外に持っていかれてしまいます。
本当に国民の幸せを考えるなら、働く人がスキルを身につけさせて、いつでも職に就けるような教育をすることが大切です。

時代は大きく変わっています。時代の変化とともに仕事で必要な能力も変わってきます。
シュレーダーは、自国の将来を想像できる首相だったのだと思います。