【世界のミンワから】第16回「金の角のトナカイ」

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

おじいさんが泥土で大きな人形を作りました。
とてもよくできたので、窓の外に置きました。

「おばあさんや、見てごらん。わしの作った泥人形を。」
とおじいさんは嬉しそうにおばあさんに言いました。

おばあさんは窓からのぞいて驚きました。
泥人形が動き始めたのです。

「助けて。おじいさん。なんてものをつくったんです。今に私たちは殺されてしまいますよ。」

おばあさんが騒いでいるうちに、もう、どしんどしんと足音が聞こえてきました。
そして泥人形が戸を開けて入ってきました。

泥人形はぎょろりぎょろりと見まわしました。
おじいさんは部屋の隅で魚アミを編んでいました。
おばあさんはそのそばで震えていました。

泥人形はおじいさんもおばあさんも魚アミもガブリと飲み込んでしまいました。
おじいさんとおばあさんを飲み込むと泥人形は表に出ていきました。

通りを二人の娘が歩いていました。
一人は桶を持ち、もう一人は天秤棒を持っていました。
泥人形はいきなり二人をつかむと桶も天秤棒も一緒に一飲みしてしまいました。

泥人形はあみを持ったおじいさんと、おばあさんと、それから、桶と天秤棒を持った二人の娘を飲み込むとまた通りを歩いていきました。

向こうから三人のおばあさんがイチゴのかごをもってやってきました。
泥人形は三人のおばあさんをイチゴのかごと一緒にのみ込みました。
そしてまたドンドン歩いていきました。

すると三人の漁師が集まって、舟を直していました。
泥人形は三人の漁師も舟も一緒にのみ込みました。

泥人形のお腹はものすごく膨れてきました。
それでも平気でドンドン歩いていきました。

今度は三人の木こりが薪を切っていました。
泥人形は木こりたちを斧も一緒にのみ込みました。

魚アミを持ったおじいさんを、おばあさんと、桶と天秤棒を持った二人の娘と、イチゴのかごを持った三人のおばあさんと、三人の漁師と、それから斧を持った三人の木こりを飲み込んだので、泥人形のお腹は山のように膨れ上がりました。

泥人形はまん丸いお腹を突き出して、のっしのっしと歩いていきました。