【世界のミンワから】第11回「人間に飼われるようになったケモノ」

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

むかし、むかし一人の牧師さんがいました。
牧師さんはお嫁さんをもらうことにしました。

そこで、そのあたりに住む動物たちを結婚式に招きました。

クマとオオカミとヒョウとキツネとシロギツネとウマと
ウシとヤギとヒツジとトナカイが招かれました。

一番初めにクマが出かけていきました。
途中で男の子に会いました。

「どこへ行くの?」
と、男の子がたずねました。

「牧師さんの結婚式に。」
とクマが答えました。

「いかない方がいいよ。クマさんの毛皮は温かくて素晴らしいだろう?みんな毛皮が欲しくなってクマさんを撃ち殺して皮をはいでしまうよ。」
クマは男の子の言うことを聞いて、森へ帰っていきました。

今度はオオカミがやってきました。

「どこ行くの?」
と、男の子がたずねました。

「牧師さんの結婚式に。」
とオオカミが答えました。

「いかない方がいいよ。オオカミさんの毛皮はとても役に立ちそうだからね。もう森に帰れなくなるかもしれないよ。それでもいいのかい?」
オオカミはクマと同じように結婚式に行くのをやめて帰りました。

すると今度はヒョウがやってきました。

「どこ行くの?」
と、男の子がたずねました。

「牧師さんの結婚式に。」
とヒョウが答えました。

「いかない方がいいよ。ヒョウさんの毛皮は人間たちがみんな欲しがっているからね。向こうへ着くと捕まえられて、もう二度と歩けなくなってしまうよ。」
ヒョウは男の子の言うとおりだと思って森へ帰ることにしました。

その次にキツネがきました。

「どこ行くの?」
と、男の子がたずねました。

「牧師さんの結婚式に。」
とキツネが答えました。

「気をつけなきゃだめだよ。キツネさんの毛皮はとても人気があるんだよ。命を落としに行くことになるかもしれないよ。」
これを聞くとキツネはくるりと向きを変え、森の中へ逃げていきました。

今度はシロギツネが来ました。

「どこ行くの?」
と、男の子がたずねました。

「牧師さんの結婚式に。」

「おやまあ、気の毒にそこに行って何をするつもりなんだい?イヌが狙って君を食べちゃうだろうよ。」
シロギツネはびっくりして帰っていきました。

今度はウマがやってきました。

「どこ行くの?」
と、男の子がたずねました。

「牧師さんの結婚式に。」

「いかない方がいいよ。ウマさんは力持ちだから、捕まえられて働かされちゃうよ。もう勝手に遊べなくなっちゃうよ。」
と男の子が言いましたが、ウマは
「大丈夫さ、ゆわえつけられたって逃げたくなったら綱なんて切ってくるから。」
と言って、結婚式の場所へ急ぎました。

そこへ着くとウマは働かされることになりました。