【世界のミンワから】第6回【王子様の耳はロバの耳】

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

 

むかしむかし、王様とお妃様がいました。
二人には子供がいませんでした。

王様もお妃さまも子供が欲しくて仕方ありませんでした。

そこで王様はあるとき三人の妖精を呼んで、子供を授けてくれと頼みました。
三人の妖精は願い事はかなえてあげましょうと約束して帰りました。

ひと月経つと、お妃様に王子が生まれました。
三人の妖精は贈り物をすることにしました。

「世界一美しい王子になりますように。」
と、ひとりの妖精が言いました。

「思いやりのある賢い王子になりますように。」
と、二番目の妖精は言いました。

三番目の妖精は、はじめの二人と同じことを言おうと思っていたので困ってしまいました。
うまい言葉が思いつかないので、

「王子にロバの耳がはえますように、そうすれば決して威張ることのない王子になるでしょう。」
と口から出まかせを言いました。

王様はびっくりして、この最後の願いだけは取り消してくれと頼みました。
けれども妖精はさっさと帰ってしまいました。

まもなく王子にはロバの耳がはえてきました。

王様は
(やがて王になるものがロバの耳を持っているとわかったら国民の笑いものになるぞ。)
と考えて、すっぽり耳まで隠れる帽子をつくらせました。
王子はその帽子を朝から晩までかぶっていました。

王子は大きくなって髪を切らなければならなくなりました。
王様は床屋を呼んで
「王子の髪を切ってくれ。しかし帽子の下に見たものを人に話してはならないぞ。話すと命がないものと思え。」
と言いました。

床屋は帽子の下に見たものを話したくてたまりません。
でも王様の言葉を思い出して、じっと黙っていました。