【世界のミンワから】第5回【頭のいいコヨーテ】

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

ある日、ガラガラヘビが岩に挟まれて動けなくなりました。
そこへアヒルがやってきました。

「アヒルさんお願いです。この岩を押してください。」
とガラガラヘビが頼みました。

「ええ、ええ、お安い御用ですとも。」

アヒルは丈夫な胸で岩を動かしました。
隙間ができるとガラガラヘビは、さっと岩から抜け出してアヒルの前に立ちふさがりました。

「長いこと挟まれていたので腹ペコになっちまった。お前さんをちょうだいするぜ。」
こういってガラガラヘビは真っ赤な長い舌を出してぺろぺろと舌なめずりをしました。
アヒルは足がすくんで動けなくなりました。
それでも勇気を出して言いました。

「そりゃいけませんよ。」
「いくらなんでもそんなひどいことしちゃいけません。」

「どうしてひどいことなんだ?」
とガラガラヘビは聞きました。

「だって私はあなたを助けたんですよ。」
「お礼をくれるのが普通じゃありませんか。」

「おや、お前さんは知らないのかい?」
「いいことすると、悪い報いがあるっていうじゃないか。」

「へえ、そんなの初めて聞きましたよ。それじゃ私の言うことととあなたの言うこととどっちが正しいか誰かに決めてもらいましょう。」
とアヒルが言いました。

「ああ、いいとも。誰だって俺の言うことの方が本当だっていうよ。」

そこでアヒルとガラガラヘビは一緒に歩いていきました。
ガラガラヘビはアヒルにピッタリ引っ付いていきました。
やがてロバに出会いました。

「ちょうど、いいひとだ。」
「さあ、聞いてみるんだな。いいことをすると悪い報いがあるかどうか。」
ガラガラヘビにこう言われてアヒルはロバに尋ねました。
するとロバは

「うん。その通りだよ。いいことすると悪い報いがあるとも。」
「私は人間のところでおなかがすいても良く働いた暑い夏も寒い冬も文句を言わずにきちんと仕事をした。」
「ところがどうだ。今はこの通りすっかり弱って背中が痛くて仕方がないんだ。すると主人は私を飢え死させようと言うんだからなぁ。いいことしてもお礼は言われないよ。」
と言いました。