【世界のミンワから】第4回【ロバどろぼう】

このコラムについて

世界は物語であふれています。面白い話もあればつまらない話もあり、学びがある話もあれば、全く何のためにもならない話もあります。
そんな世界各地に伝わるミンワを紹介していきます。きっと何かが感じられるはずです。

 

昔、インドの村に、人の話を何でも信じてしまうおじいさんがいました。
ある日、おじいさんは市場でロバを買いました。

「元気なロバじゃ。よく働くんだぞ。」

とてもうれしそうにロバを引いて帰るおじいさんを怪しい男たちが見ていました。

「おい、見ろよ。
あんなに浮かれてたんじゃ、ロバを盗むのなんて簡単さ。いただいちまおう。」

そう言うと、一人がそっとロバに近づき、手綱をほどきました。
仲間はロバを引いて、人ごみに紛れていきました。
残った男は、ほどいた手綱をなぜか自分の首に結んで、おじいさんの後をついて、てくてくと歩き始めました。

上機嫌なおじいさんはそんなこと全く気が付きません。
しばらくして男が立ち止まると、ようやく後ろを振り返りました。

「ありゃ。ロバが人間になっておるぞ。」

おじいさんが唖然としていると
男が涙を浮かべて言いました。

「聞いてください。私はもともと人間だったのです。昔、父の悪口を言いすぎて、神様にロバの姿にされてしまったのです。
ですが、やっと今、呪いが解けました。」

涙ながらに訳を話す男を見て、おじいさんも、もらい泣きしました。

「つらかったじゃろう。もう自由の身じゃ。どこへでも行きなされ。」

なんとお人好しなおじいさんでしょう。
手綱をほどいて男を逃がしてあげたのです。
男は礼を言うとクルリと体の向きを変え、ペロッと舌を出して走り去りました。

翌日、おじいさんはロバを買うために、また市場に行きました。

すると昨日買ったのにそっくりなロバが売られているではありませんか!

少し考えておじいさんは怒り出しました。

「わかったぞ。今度は母親の悪口を言ってロバにされたな。
お前のようなやつを誰が買うものか。」

悲しそうにいななくロバを後にして、おじいさんはスタスタと家に帰っていきました。