やくざいしまるやまだいすけのおはなし-第3話

このコラムについて

ミンワとは泥や失敗やこっぱずかしさ、
カサブタやひだひだの一杯ついた本当の物語。
創業や商品開発、危機的状況を乗り越えるたびに新しく生まれています。
ミンワの新作は現代の企業における新しいミンワを紹介していきます。

やくざいしまるやまだいすけのおはなしについて

新しい医療サポートを始めようと思ったきっかけの物語。
医療機関と患者さんとの間に、まだまだ溝があることを感じた日々。
薬剤師の丸山は自分ならばその溝を埋める手助けができるのではないか、と考え、そして行動に移しました。
これは薬剤師として感じた悔しい思い、嬉しい気持ち、未来への希望が新しいサービスを生み出すに至った物語です。

毎週木曜日配信のミンワの新作「本当は教えたくないとうかいのいまはむかし」。前回の「立場を超えれば、本当のアドバイスができる」の続きをお送りします。

病院選びや難しい言葉の解説を、ていねいに
 ポケットの携帯電話が鳴る。見ると、発信元は義理の母だった。
「ああ、お義母さん」
「丸山さん、今いいかしら」
義母は二十年弱もリウマチを患っており、体の調子が悪いことがしばしばある。
ただ今回は、初めての症状だった。
「顔の右側が痺れているの。病院へ行こうと思うのだけど何科がいいのかわからなくて」
顔のどのあたりか尋ねると、頬だという。両手両足は痺れていない。だるさも特にない。
「しゃべりづらいことはないですか? 」
「ええ、それも大丈夫」
「それなら、まずは神経内科だと思いますよ。信頼できる先生を知っているので、連絡しておきますね」
義母は七十三歳だがしっかりしている。ひとりで病院に行くようだった。
ところが次の日、また電話がかかってきた。
「今朝、教えてもらった病院へ行ったら、耳鼻科にかかった方がいいと言われたの。病院を探すなら丸山さんに聞いてからと思って」
「耳鼻科ならあそこかな」
僕は、大学病院出身の開業医を紹介した。義母には敢えて言わなかったが、もしおおごとになっても大学病院への紹介状を書いてくれるはずだから。
数日後、三度目にかかってきた電話で、僕の予感は的中することになる。
「鼻の奥に腫瘍がありそうだって言われたの…… 。大学病院でないと検査ができないからと、紹介状を書いてもらって…… 。大丈夫かしら」
義母の声から相当悲観的になっているのがわかる。多くの人は、「腫瘍」と聞くとがんを想起してしまうものだ。今の時点で「大丈夫」と軽はずみには言えないが、少しでも義母の不安を和らげるため、妻と僕とで付き添うことにした。紹介状を書いてもらった病院には知り合いがいたので、あらかじめ連絡しておいた。