【ミンワ経営のすすめ】第21回「資生堂ショック」

このコラムについて

「物語の力を学び、経営に活かす」
創業時の物語、危機的状況を乗り越えた逆境の物語、商品やサービスが誕生したときのはじまりの物語、大切な社員たちとの出会いの物語。それらを学ぶことは業績アップの第一歩です。なぜなら、経営とは物語の集まりなのです。

弊社はあいち女性輝きカンパニーという認証を取得しています。http://www.pref.aichi.jp/danjo/jokatsu/advance/authentication.html

今日は女性活躍のリーディングカンパニー、資生堂の物語。

資生堂の「カンガルースタッフ」を知っていますか?「カンガルースタッフ」とは、育児期のビューティーコンサルタントが育児に専念できるよう、店頭活動のお手伝いをする美容スタッフです。

 

【カンガルースタッフ】
育児時間を取得するビューティーコンサルタントが育児時間を取得している不在時に、お客さまの対応や店頭での後方業務を行う。
~労働条件~

①契約社員
➁最長契約期間は4年間
③週20時間未満・月50時間未満の勤務時間
④勤務初期では、後方業務(品出し・スポンジ洗い等)が中心

 

資生堂の「カンガルースタッフ制度」とは、育児をしながら働くビューティーコンサルタントの仕事と育児の両立をバックアップする制度のひとつです。カンガルースタッフは売場のメンテナンス、商品購入のお手伝い、商品の補充、商品のラッピングなどでビューティーコンサルタントの仕事をフォローします。そのフォローのおかげでビューティーコンサルタントが短時間しか働けなくても成果を出すことができます。

 

女性が働きやすいようにいろいろなことをしている資生堂ですが、女性が活躍できる職場にするために様々な苦労がありました。2015年に起きた「資生堂ショック」を覚えていますか?株価までも一気に下げてしまったこの出来事。資生堂の真意はなんだったのでしょうか?

2015年某日、育児休暇や短時間勤務をどこよりも積極的に導入してきた資生堂が、「これからは育児中の社員にも遅番や休日シフトに入ってもらう」と宣言しました。そのことに対して、マスコミをはじめ多くの人が「時代に逆行している」と資生堂を大批判したのが「資生堂ショック」です。(その時の状況は、子育て中の社員はほとんどが早番にはいり、それ以外の社員が遅番、休日シフトに入る慣行がありました。)

資生堂の目指す姿は、「女性が働きやすい会社」から「女性が働きがいのある会社」でした。

資生堂はそれまで、子育てをしている女性に、他の社員の手伝いのような仕事ばかりさせていました。急に休まれると困るからと言って、責任がない仕事、緊急度が低い仕事、優先度が低い仕事につかせていました。周りからもお客様からも頼られないので、仕事は子育て前のようなやりがいがなくなりました。

そしてさらに悪いことに、子育てを始めた女性社員に気遣いばかりしてしまい、結果としてキャリアルートから外してしまっていました。子育てイコールキャリアの断絶になっていたのです。資生堂は、単に「働きやすい会社」を作っていたなと反省しました。そしてこれではいけない、女性が働きやすく、キャリアルートが描け、やりがいのある、本当の意味で女性が活躍できる「女性が働きがいのある会社」と考えたのです。

「資生堂ショック」の真意、それは「女性が働きやすい会社」から「女性が働きがいのある会社」への改革でした。「これからは育児中の社員にも遅番や休日シフトに入ってもらう」と宣言したのは、長期にわたる手厚い子育て支援は女性活躍の障壁となり、制度の利用が長期化すると、子育て期のキャリア形成の遅れを取り戻せなくなるからだったのです。

資生堂は女性が活躍できる本当に良い会社だと思います。

これからの経営は、女性が働きやすい職場にするために制度や文化を作っていくのはあたりまえです。資生堂のように一歩踏み出して、女性がキャリア形成して、やりがいを持って働くことができる会社を作らなければならないのだと思います。