【ミンワの経営のすすめ】第4回「ハードワーキングから残業ゼロへ」

このコラムについて

「物語の力を学び、経営に活かす」
創業時の物語、危機的状況を乗り越えた逆境の物語、商品やサービスが誕生したときのはじまりの物語、大切な社員たちとの出会いの物語。それらを学ぶことは業績アップの第一歩です。なぜなら、経営とは物語の集まりなのです。

1973年の創業から、日本経済の「失われた20年」をものともせず、今や売上高1兆4,000億円を超える世界的な総合モーターメーカーへと急成長を遂げた日本電産。
今日の物語は現代のカリスマ経営者とも呼ばれる日本電産永守重信の物語。

前回の続きから

日本電産の社訓は、「情熱・熱意・執念」「知的ハードワーク」「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」です。
「誰よりも長く働く」ことを誇りとし、組織の強みとして走り続けてきた永守氏。しかし2016年秋、突然、「2020年度までに残業ゼロ企業を目指す」と発表します。

永守氏は海外のメーカーを買収する中で、多くの気づきを得ました。欧米の社員は、夏は1カ月くらいは平気で休むのに、利益はしっかりと出している。北欧諸国の労働生産性が、日本に比べて圧倒的に高いことを目の当たりにして、「残業をしなくてもしっかりと利益を出し、稼げる会社でなければ世界で勝てない」。そう確信したのです。

◆社員への説明

残業削減の方針を社内に発表した際に、社員から残業が減り収入が減ると不安の声をもらいます。しかし永守氏は「安心していい」と、全従業員に言います。

そしてこのコメントこそ、名経営者である永守氏が見ている働き方改革の真の姿です。

「日本電産が目指すのは残業ゼロではない。残業ゼロは手段であり、目的は『生産性を世界のトップレベルまで高めること』だ。その結果、競争力が高まれば、利益が増える。利益が増えれば、給料もボーナスも上がる。むしろ、君たちの収入は上がるのだ。残業代で稼げる額の比ではない」。

これを聞いて多くの社員が生産をあげるために、何ができるかを考えるようになります。

永守氏が重視したのは、教育です。自己研鑽、つまり仕事が終わった後に勉強することが大切なのです。そのために永守氏は、教育施設を作りました。

そう「生産性の向上」とは「各個人の能力アップ」に他ならないのです。

◆3大精神

ある取材で永守氏は、日本電産の3大精神として有名な「情熱、熱意、執念」、そして「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」の変更はありますか?と質問されたそうです。

その際に次のように回答しています。

「変更はありません。経営精神の根幹は、全くブレていない。繰り返しますが、あくまでゴールは「生産性向上による競争力の強化」。働き方改革は手段であり、目的ではない。この点は、世の中の多くの人が誤解しているのではと危惧しています。」

と言ったそうです。

働き方改革の本当の意味を理解している会社は少ない。

真の働き方改革を知る会社日本電産。
こんな物語が語り継がれる会社だからこそ、世界のトップレベルで戦っていけるのではないかと思います。